開発秘話

2011年、春まだ浅い、東北の、東日本大震災、それに伴って起こった大津波災害。多くの尊い人命と、多くの財産を奪われた人々がいた、
その時に活躍したのが、ペール缶ロケットストーブだと言われています。

1.ロケットストーブとの出会い~試作1号機

基本になるペール缶ロケットストーブ

私も、その翌年、滋賀県高島市での手作り市に行ったのですが、偶然にも隣のブースでのワークショップで初めて見ました。まるで本物のロケットの様な火柱とゴーという炎の様は、感動でした。 早速、帰ってから自分でも作って見ましたが、高温に曝されると案外ともろく、ステンレスの部材には穴が開き、直ぐにダメになってしまいました。でも、その威力だけは「これは、上手くすれば、商品として市場に出せるかも」と思いましたが、その時は、それ以上に発展しませんでした。

鉄工業の仲間の人が作った 3.2ミリ厚鉄板の
試作1号機


手作り市の仲間で、個人で鉄工業を営む人もいて、ある時、偶然にもペール缶ロケットストーブの話が出ました。自分でペール缶タイプのロケットストーブを3.2ミリ厚鉄板で作り、別の場所での手作り市で、披露してくれました。


2.製品1号機(試作2号機)は欠陥品で・・・

鉄工業の仲間の人が作った、デザインも重視した製品1号機
(試作2号機)

試作1号機は、焚口も小さく、温かさも全くありません。商品としての価値が無いので、次に作ったのが、一体型でコンパクトなロケットストーブでした。
デザインも重視したので「商品として市場に出せるかな??」と思い、二人だけでは経験不足もあり、「あと二人ほど仲間を増やして、展開して見よう」という話になり、時々、手作り市で出会う滋賀の若者にも声を掛け、私の地元のエントツ設置業者にも声掛けして、四人グループとして活動を始めました。
だが、この製作担当の鉄工所の人は納期を守らないし、試し焚きは数時間しかしない!おまけに、ストーブの扉を開けた時にドサッと燃え盛る薪が手前に倒れたり、ものの一週間もするとススだらけになり、商品価値のない欠陥品でした。
購入していただいた方から苦情と返品の申し出が来ましたが、何ら対応する事も無く、無視する様な人でした。又、丹後のエントツ設置業者は、「ネットでの販売は止めよう」と言い出し、結局は、エントツ工事を取りたいだけの人で幻滅しました。「これでは一緒に展開する信用出来る仲間にはなりえない」という事で、自らこのグループからの脱退を申し出ました。

3.ロケットストーブの量産化

私の本職『丹後ちりめん』は、最盛期は年間950万反が製造されていましたが、現在は約4%の35万反まで落ち込んでいます。
当然のことながら、丹後の経済は超低迷。そこで、全国からお金を呼び寄せるには、「丹後独自の製品開発をする必要がある」と思い、私が設計したロケットストーブの実物大の木製の模型を作りました。
そして、丹後に色々とある鉄工所の中から、我が家と比較的に近い所にあるM鉄工所にその模型を持って行き、作ってもらう事にしました。

今度は、私自身の試作1号機
実物大の木製の模型

3.2ミリ厚の鋼板で作った試作1号機

窓付きの試作2号機焚口部


大変良く燃えましたが、やはり「窓の付いたロケットストーブが欲しい。」という事で、次に手掛けたのが、窓付きの試作2号機。しばらくは、我が家の織物工場で使って見る事にしました。
一応、製品としては完成させましたが、今一度ロケットストーブの原点に立ち返り、炎が見えなくとも、工場などで使え、丈夫で長持ちで、燃費の良いロケットストーブ試作1号機の改良型を開発しました。
窓の付いた炎が見える試作1号機と、炎は見えないが暖かい試作2号機を「この二種類は、美味く行けば市場性があるかな??」と思い製品化し、量産しました。
特に試作1号機の改良型の製品版は、炎が見えなくても、暖かさがバツグンでしたので、製品としても需要がありました。


試作2号機

炎は見えないが暖かい試作1号機改良型

試作1号機改良型の製品化・量産化


私一人では全国展開が難しいため、その鉄工所の人と「ショップ開いて、従業員を二人雇って、丹後の発展の為に共同経営をしよう」ということになりました。
共同経営の話もまとまり、その後も何種類かのロケットストーブを開発しましたが、商品が売れだすと、当初の不安が的中し、案の定これらのロケットストーブを私に相談する事も無く、横流し販売し始めました。やはり、一度人の信頼を裏切る様な行動をした人は、とても信用できる様な人材ではありませんでした。


4.丹後ロケットストーブ事業の始動

そういう事で、またまた原点に立ち返り、「安価で安心、安全、高性能のロケットストーブ」の開発と販売目指し、『全国展開、丹後にお金を呼び寄せる』という初期の目的を貫くために、今度は、自分一人で、再スタートしました。
長い時間、試行錯誤しながら、窓付きの本格的なロケットストーブ【かぐつち試作一号機】の誕生です。
【かぐつち試作一号機】は、扉を上下に開け閉めする形であったので、薪投入時に腕が熱くなるため、左右開きに改良しました。【かぐつち試作二号機】

縦開きの【かぐつち試作一号機】

横開きの【かぐつち試作二号機】


20×30cmの耐熱ガラスの付いた窓と蓄熱暖房を取り入れた、本格的ロケットストーブの出来上がりです。
初めて「これは、売れる!」との感触を得ました。


この際に、製品に『かぐつち(KAGUTUTI)』と命名し、ロゴと共に商標登録をしました。
自分自身が本格的に作る事は難しいので、京丹後市で製品化してくれる鉄工所を探しました。前回の裏切りの不安もあるため、真面目で誠実な鉄工所を探し出し、試作機を持って会社訪問する事となりました。初めは72歳の私に怪訝な気持ちを抱いていましたが【かぐつち試作二号機】を焚いて見せると感激していただき、製品化の話しも快く引き受けていただけました。
丹後ロケットストーブ事業の本格的なスタートです。


5.製品【かぐつち】の誕生

【かぐつち二号】の製品化の目途は立ちましたが、研究・改良は更に続きます。
燃費の更なる向上と、バーントンネル、ヒートライザーのダメージを見越し、交換可能な形状に再設計し、女性でも簡単に交換できる仕組みにしました。
このバーントンネルとヒートライザーの仕組みは企業秘密の部類になるのでしょうが、より品質のよいロケットストーブを普及して貰いたいとの一念で全国の皆さんに公開します。

ヒートライザーの先端部分

ヒートライザーの投入方法


ヒートライザーの先端部分を少し凹ませる事で乱気流を生み出し、V字型の切り欠きを入れる事で、更なる空気の撹拌性能を上げます。
バーントンネルとヒートライザーを交換できるようにする事で、ロケットストーブは他では考えられないような耐久年数となります。
私は、逐次これを交換して行けば、40~50年持つと試算しています。


耐熱レンガを据え付けられる製品
【かぐつち二号】

また、更に蓄熱効果を上げるために、ロケットストーブ側部と焚口上部のオーブン部に耐熱レンガを据え付けることができるようにしました。
製品の完成をを確信し、次は使い勝手、応用を考えて見ました。
すなわち、焚口の上の耐熱レンガ部分に天火オーブンを設置し、トーストやピザ、焼き芋などを焼けるようにしました。また、炉内が熾きとなった時に、
ダッチオーブンを使用して、幅広い調理の方法を確立して見ました。
製品【かぐつち二号】の誕生です。

標準装備の天火オーブン

トースト・ピザ・焼き芋など

別売のダッチオーブン用スタンド



火の粉が出ない煙突

一般的な薪スト-ブは、エントツの先端から火の粉が出る事があります。
【かぐつち二号】はこのリスクを取り除き、低温での排出に成功しております。
このように、お客様からの要望や提案から【かぐつち】はこれからも進化していきます。


6.Tango Good Goods(丹後ブランド商品)優秀産品認定商品

平成28年7月には、丹後地域の優良な地場産品として、応募者51業者、応募商品数84点の中から【かぐつち二号】を含む5点が
「Tango Good Goods(丹後ブランド商品)優秀産品として認定されました。

優秀産品:応募84商品の中から選ばれた5点
(クリックで拡大)

優秀産品 表彰状

優秀産品 表彰状

2016年8月1日
北近畿経済新聞に掲載されました
(クリックで拡大)



【かぐつち二号】完成写真


以上が、私が足掛け三年程掛かって作り上げた、京丹後市発、全国への思いを込めたロケットストーブ【かぐつち二号】の開発秘話です。
最後まで、お読み頂き、有難う御座いました。